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竹の会塾長著作「心の指導」のエッセンスを紹介中(^^♪

はしがき

「竹の会指導論集Ⅰ」が出たのは、1991年の9月のことでした。「Ⅰ」となっているのですから、「Ⅱ」を出す含みがあったわけです。実際、私もそのつもりでした。しかし、現実の指導のなかで、はっきりした確信をもてないことのほうが多くとても何かを書ける気持ちにはなれませんでした。悩み苦しみながらも、入試を成功させてきたのは、幸いでした。指導の実践を通して私も何が問題なのかという事が次第に見えてきたと思うのです。ずいぶんといろいろな書物を読んできました。いつしか私の指導理論は新たな展開をしていたのです。子どもの心をじっと見つめ続けることに何か安心感みたいなものを覚えました。西岡棟梁(西岡さんについては本文をお読みください)の言葉を借りていえば、子どもはみなヒノキです。私は生育しかけたヒノキにふりそそぐ太陽です。いや太陽のようにありたいと思っています。母親が土壌であるのなら、私は生育してくるヒノキに日をそそぐ太陽になりたい。樹齢千年のヒノキが、千三百年もの間、法隆寺を支えてきました。しかし、ヒノキならみな千年持つというわけではないのです。大切なのは土壌なんです。厳しい条件のところで二千年以上のヒノキが残るのです。母親が土壌であるということの意味は深い。土壌が悪ければ中が空洞の木が育つのです。法隆寺を造った飛鳥の工人は千年先を考えてヒノキを使いました。耐用年数だけとっても現代の建築は飛鳥に遠く及びません。すべてにモノ、カネが優先です。科学技術の発展はジワッジワッと私たち人類の生命を縮めているのかという憂鬱な気持ちが心を暗くします。私たち親が死んでしまった後の二十一世紀、子供たちは樹齢千年のヒノキのように生きていけるのでしょうか。  

遠く飛鳥の昔からあった自然を次から次へと破壊してゆく現代人たちが、その心において飛鳥に遠く及ばないのです。
木だって考えています。「自然の中で動けないのですから、生きのびていくためにはそれなりに土地や風向き、日当たり、まわりの状況に合わせていかなければなりません。」「いつもこっちから風が吹いている所の木でしたら、枝がまがります。そうすると、木もひねられます。木はそれに対してねじられないようにしようという気になります。これが木のクセです。」
それぞれに育った環境の違う子どもたちには、それぞれにクセがあります。そのクセを見抜いて指導することが大切なのです。
子どものクセは、生きのびるためにできたものです。少しでも太陽の光が多くあたるようにと必死に生きぬく中からクセができてくるのです。もし、いつでも日の光が十分に用意されていて、風も雨もない温室みたいなところで育ったこどもはひ弱でクセのない子です。風や雨に抵抗する力、生きぬく力を持たせるには、自然に任せるしかないのです。
子どものこの抵抗する力こそが子どもが生きぬくために自ら考えようとする契機となるものではないかと思うのです。
私は子供たちが樹齢千年のヒノキのように困難に抵抗しながら強くたくましく生きぬいてほしいと思っています。千年のヒノキを育てるような気持ちで指導できればと思っています。私の指導の心です。
この本には「心の指導 竹の会指導の実際」という名前をつけました。表紙には「母親必読書」とありますが、この本は私から母親たちへのメッセージなんです。子どもを独り立ちできるように一所懸命に育ててるお母さんたちへの心をこめたメッセージです。
思えば、「指導論集Ⅰ」から七年の歳月を経て、実質的な「指導論集2」をだすことができたことになります。私の心には私の竹の会をもう後何年も続けられないという思いがずっとくすぶり続けていました。いつか私が竹の会と別れを告げたとき、指導の証としてこの「心の指導」を残しておきたい。私の指導の足跡を残しておきたいと思います。みなさんに私のこの拙い文章の数々を読んでいただければ、わたしにとってこれほどうれしいことはありません。
       平成九年  晩秋                         阿部雄彦


※長い間使ってきた「阿部竹彦」という名前は実は本名ではありません。正しくは雄彦と書き、たけひこ、と読みます。竹の会を始めるとき、母から「竹」という字がいいといわれたので使っただけなのです。母は非常に信仰に厚い人で、どこやらで私のことを調べてもらい、「竹」という字を使えば塾が大成功すると聞いてきたらしいのです。どうやら私は「教える」という職業が天職らしく、塾の申し子みたいなことを言われたらしいのです。私は合理的な考えをする人間であまりそういう考えにはついていけないのですけども、とにかく母の言うとおりにしました。竹の会というのは、竹彦だからそうしたというつもりはなく、何かいい名前はないかと何日か悩んでいるうちに、朝目が覚めてひらめいたのが竹の会だったというだけのことなんです。

    

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